中国人研修生は現在研修中の女性6名を除くと、男性1人女性48名が日本での1年間の研修を終え、中国工場に復任したことになる。
しかし現在残っているのは女性12名だけである。
日本の研修で稼いだお金を中国ではちょっとした小金になる。だから、生活を切り詰めて帰国をする。帰国をすれば当分は働かなくともいいということと、片言の日本語を活かしてより条件のよい会社への転職をするわけだ。
研修生のすべては日本人の優しさに驚いて帰国してゆく背景には、中国での生活の過酷さが窺われる。実際は20億人はいるのではないかと囁かれる大地においては、なりふり構まってはおられない。人のことなどかまっていたら、自分が生きていかれないのだ。
おなじ社宅に寝起きする私は、研修生たちが中国に帰れば掌を返したようになることは分かっていても、できるだけのこと、それは中国の常識ではあり得ない厚遇をする。
彼女たちが家庭を持ち、そしてお婆さんになったとき、日本での生活が子供さんやお孫さんへの自慢話になるだけでも、どんなに素晴らしいだろうと。
「日本という国には、とても美しい川や山があって、食べ物も美味しくて、とても温かい人たちが大勢いて、真っ白な雪が胸までも積もってね……日本という国は昔はそんな素敵な国だったんだよ」
写真はそんな彼女らが帰国して、私に贈ってくれたお守りだ。
私は毎日それを見あげながら、ひとりひとりの顔を思い浮かべる。
