25年振りのことです。
私は野麦峠へ車で出掛けました。
当日は天候に恵まれ、新緑の山々と清清しい風、そしておいしい空気に触れ、当時と変わらぬ自然を満喫しながら、それとは対照的に見違えるほどきれいに整備された道路に驚きながらも快適なドライブを楽しみました。
車には私のほかに主人と、八十後半のじいちゃん(舅)が乗っていましたが、私は久しぶりの訪れと懐かしさで「あの頃は良かったなー」と何度も何度も連呼してばかりいました。すると
「そんな事はねえぞ。おりは今が一番ええぞ」とじいちゃんが一言。
十年前に連れ合いを亡くし、この頃では外出も食事の量もめっきり少なくなり、何の楽しみがあるのかな?と思えるほどの毎日です。そんな中でも「今が一番ええぞ・・」というじいちゃん。
戦争を体験し、戦地で泥水を靴下でこして飲み、死にものぐるいで日本へ帰ってきたというじいちゃん。
私は今を感謝することをすっかり忘れてしまっていたことに気付かされました。
普段「ありがたい、ありがたい」と言いながら、そうでない自分がいつも居ることにハッとしました。
25年ぶりのドライブは、私の心に「喝」を入れてくれた忘れがたい貴重な思い出となりました。
E・S