~技と食~ 飛騨高山の名産品

一位一刀彫

19世紀初め、名彫刻師・松田亮長が、飛騨の象徴である銘木イチイ材を使い、ノミだけで刃跡を鋭く残し彫り上げる独特の手法で根付を製作したのが「一位一刀彫」の始まりとされています。良材選びから、木取り、荒彫りなど6つの工程を経て仕上げられる作品は、あえて彩色を施さず、艶やかなイチイの木目や、白太(心材)・赤太(辺材)と呼ばれる木肌の色合いを活かしており、年月と共にその艶が増して美しい飴色に変化することで知られています。置き物・茶道具・面などが作られ、高山祭の屋台の彫刻にもその技が活かされています。【経済産業大臣指定 伝統的工芸品】218品目の1品。

飛騨春慶塗

約400年前、名工、高橋喜左衛門がサワラの木目の美しさに心を打たれ風雅な蛤型の盆を仕上げて高山城主金森家に献上。これを塗師、成田三右衛門が木地を生かした透漆の重ねにて塗り上げたところ、茶道の名陶“飛春慶”に似たその琥珀色の繊細な色調から、金森家によって「春慶」と名付けられたのが始まりと伝えられています。ヒノキ、サワラなど地元の良質な素材だけが持つ素朴な美しさを生かす、飛騨の木匠と塗師の技法の集大成といえる漆器です。盆・重箱・茶道具など、用途も多岐に渡っています。【経済産業大臣指定 伝統的工芸品】218品目の1品。

さるぼぼ

さるぼぼとは、飛騨弁で「猿の赤ん坊」という意味です。赤い顔が猿の赤ん坊に似ていることから、そう呼ばれるようになりました。赤い色は古くから悪霊払い・疫病除けのご利益があると言われ、猿は「災いが去る(サル)」「家庭円(エン=猿)満」などに繋がることから、さるぼぼは縁起の良い物とされ、お守りとしても使われています。昔、飛騨地方では、母親が娘の縁結び・安産・夫婦円満や、子供の健やかな成長を願い、このさるぼぼを作って与えたそうです。顔のない珍しい人形ですが、飛騨を代表する民芸品です。
【岐阜県郷土工芸品】

ほか、代表的な工芸品として飛騨刺し子(手芸品)、円空彫、ひのき笠・一位笠、有道しゃくし(木工品)、小屋名のしょうけ(竹製品)、山田焼、渋草焼(やきもの)、紙絵馬などがあります。

飛騨牛

地元で育てられている、全国的に知られた黒毛和牛のブランドの1つ。生産者登録・肥養期間・3等級以上の肉質など、厳しい認定条件をクリアした最上の牛肉です。飛騨の清浄な水と清澄な空気に育まれた飛騨牛は旨みが凝縮・精錬され、肉質は霜降りが多くジューシーで、口の中でとろけるような風味と柔らかくキメの細かいことで知られています。スタンダードなステーキやすき焼きは言わずもがな、握りずしや露店で手軽に買える串焼きもこれまた絶品です。

高山ラーメン

高山ラーメンは鶏ガラに鰹節や野菜を加えた「和風しょうゆ味」+「平打ちの細い縮れ麺」が基本形。スープを、どんぶりの上にタレを用意し出汁で溶く一般的な作り方でなく、出汁とタレを一緒に混ぜて寸胴で煮込むのが特徴です。具もネギ・チャーシュー・メンマなどいたってシンプル。昔懐かしい素朴でさっぱりとしたその味は、地元の人のソウルフードといえる一品です。地元では、店頭の暖簾に見られるように「高山ラーメン」でなく、「中華そば」と呼ぶ方が一般的かもしれません。

ほか、代表的なグルメとして、みたらし団子、朴葉みそ、赤カブ漬け、地酒などがあります。